常本八のブログ

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【RRR】インド映画は絵を描かないアニメ。

インド映画は「限りなく現実に近い」見た目をしてるから、その実態が「完全に空想の世界(=アニメ)」ってことに気づきにくくなっているんじゃないか。

時代がインド映画にすり寄っている。

 

 

年末にRRRを観た。

 

 事前にチェックしていたレビューサイトでは、2万を超える多数のレビューと圧倒的な数の高評価がつけられていた。全体評価が星4.0いけばかなりの名作という中で、RRRの評価は堂々の4.4。ただならぬ異様さがあった。

 

 そもそも、インド映画自体が人を選ぶジャンルだ。この評価は、インド映画好きという限られたファン層たちがこぞって観に行ったために不当に高くなった結果なのかもしれない……そう思った私は、真相を確かめるべくクリスマスの最中、友人らと新宿ピカデリーに足を運んだ。

 

 結論として、凄く面白かった。評価は妥当だった。アクションシーンの迫力といい、映画館で観てよかったと思える作品だった。上映終わりに拍手が起きた。映画館での拍手を見るのは初めてだった。便乗して私も拍手をした。最初に拍手しはじめた人は勇気があると思う。

 

 その後、クリスマスにわざわざインド映画を観に来たカップルは覚悟が決まっていて応援したくなるね、という話を友人とした。

 

 RRRというタイトルの意味が遂に分からなかったのだが、Wikipedeiaにその答えがあった。

映画製作者たちはファンに対し、『RRR』のタイトルを各言語に訳したネーミング・コンテストに参加するように呼びかけた[135][136]。2020年3月25日に各言語版の訳が発表され、テルグ語版が「Raudraṁ Raṇaṁ Rudhiraṁ」[137]タミル語版が「Rattam Raṇam Rauttiram」[138]カンナダ語版が「Raudra Raṇa Rudhira」、マラヤーラム語版が「Rudhiram Raṇam Raudhram」、ヒンディー語版が「Rise Roar Revolt」である[139]

出典:RRR (映画) - Wikipedia

そういう意味だったのか。

 

ここが良かったって話

 ナートゥ・ダンスバトルは最高だった。インド映画の陽気さがあの数分に詰め込まれていた。今まで観た映画の中で一番好きなシーンだと思う。明確な善悪が設定されているのは好きだ。華やかな映像もよかった。頭を空っぽにして観れる。

 

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 インド映画特有の果てしなく強い主人公の描写もよかった。猛獣と一緒に両手に松明持ったビームが車から登場するシーン、最強主人公って感じで凄くいい。そのあとに持ってる松明で猛獣を払ってるのはウケた。そこの整合性はつけるのかよ。

 

 ド派手なバトルシーン、最高だった。荒くれるホースを背景に水を武器にするビーム、燃えさかる松明を武器に戦うラーマ。やりすぎっていう位の誇張がシュールさとカッコよさを両立する。「そうはならんやろ」と思っていても、実際画面上で何とかなってるのをみると「いや、何とかなってたわ」となる。ヒトの脳は案外単純だ。

 

 ビームとラーマの友情シーンもよかった。台詞とかはないのに、「この二人は出会うべくして出会った」という点が伝わってくる。この描写がしっかりしていることで、今後重要となってくる「友情か使命か」という究極の選択の重みが増す。映画評論家気取りっぽい語り草になったけど、あの部分の完成度にいたく感心した。

 

インド映画は絵を描かなかったアニメ

 インド映画は絵を描かないアニメなのかもしれない。日本人が想像の世界を表現するのに絵を用いた一方で、インドは人を使った。細かい整合性とかは別として、完全にご都合主義な空想の世界で物語が展開する。まあ、その代償としてビームが自ら放った猛獣に襲われそうになるみたいな空想とリアリティのはざまが生まれたりするのだけど。インド映画は「限りなく現実に近い」見た目をしてるから、その実態が「完全に空想の世界(=アニメ)」ってことに気づきにくくなっているんじゃないか。

 

 そう思うと、インド映画と3DCGとの親和性はかなり高いんじゃないか。3DCGの技術が進歩したことにより、インド映画は表現のクオリティを大幅に高めることができるようになった。時代がインド映画にすり寄っているのかもしれない。これからのインド映画はすごいぞ。刮目せよ。

 

 

 

 

今年もよろしくお願いします。